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最高裁判所第一小法廷 昭和63年(行ツ)119号 判決 1990年6月14日

オランダ国アイントホーフエン・グロエネヴオウトゼヴエーク一

上告人

エヌ・ヴエー・フイリツプスグリユイランペンフアブリーケン

右代表者

エム・ヨツト・エム・ヴアン・カーム

右訴訟代理人弁護士

牧野良三

長野県松本市大字笹賀三〇三九番地

被上告人

泉精密工業株式会社

右代表者代表取締役

泉俊二

右訴訟代理人弁理士

綿貫隆夫

浜田治雄

右当事者間の東京高等裁判所昭和六一年(行ケ)第二九〇号審決取消請求事件について、同裁判所が昭和六三年一月一八日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立があった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人牧野良三の上告理由について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 橋元四郎平 裁判官 角田禮次郎 裁判官 大内恒夫 裁判官 四ツ谷巖 裁判官 大堀誠一)

(昭和六三年(行ツ)第一一九号 上告人 エヌ・ヴエー・フイリツプス・グリユイランペンフアブリーケン)

上告代理人牧野良三の上告理由

一、原判決は意匠法第一〇条の解釈を誤った違法がある、即ち、同条の立法趣旨は、本意匠の権利範囲を確認することにより、侵害の予防と権利の救済に便ならしめようとするにある。従って、「類似意匠」制度は他人の意匠と混同する虞れのないことのみをその登録要件とすべきものであり、「類似意匠」が自己の他の公知意匠と類似するかどうかはこれを問題とすべきではない、とするのが同条の法意と解すべきものである。しかるに原判決は、本件登録意匠と本意匠との類否を判断するに当り、「審決が本件類似意匠と本意匠との共通点として認めた全体の基本的構成態様は、右に認定した公知又は先願の各登録意匠」(即ち原告が権利者である意匠登録第四一〇二二〇号登録第四一〇二二一号及び登録第四一〇二二一号類似第一号)「も共通して有する構成態様であることが認められるから、この構成態様を共通するからといって、この点をとらえて、本件類似意匠が本意匠にのみ類似する意匠ということができないことは明らかである。」と認定して、本件類似意匠が本意匠にのみ類似することを否定した上、原告の請求を棄却したことは、意匠法第一〇条の解釈を誤った違法があるものであって、この違法は「判決に影響を及ぼすことが明なる法令の違背」(民事訴訟法第三九四条)に該当するものであるから、この点で原判決は破棄さるべきものである。

以上

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